■■ 6月19日(土) ■■

 

■「園児が描いた絵」展
「旧細川邸やなせ宿」開館13周年
江戸時代から明治初年、薬商細川家(奈良県宇陀市大宇陀)の支店として建てられた旧細川邸は、「藤沢樟脳」の製造販売を始めた「藤沢商店」の創始者藤沢友吉の母方の実家。「あゆ」の名所で、「あゆ」を捕るための簗(やな)がたくさん設けられていた名張川に面して建っているところから、「やなせ宿」と名付けられた。歴史的町並みの保存整備の拠点として改修工事がなされ、平成20年6月7日「旧細川邸やなせ宿」としてオープン。名張観光の拠点として、また地域住民の交流の場としてワンデイシェフやイベントなどが催されている。国登録有形文化財(建築物)である。
一昨年までは、この時期に「やなせ祭」が行われ、それに合わせて中蔵で「園児が書いた絵」展が開かれていた。昨年はコロナ禍のため中止となった(「園児が描いた絵」展のみ9月に実施)。今年も当初は6月13日の予定であったが、名張市が「まん延防止等重点措置」の適用を受けたため、第13回「やなせ祭」は7月11日に延期となった。
今年の「園児が描いた絵」展は、名張市立名張幼稚園15人、(福)名張市社会福祉協議会昭和保育園25人、(福)弘仁会名張西保育園27人の5歳児(年長)が幼稚園や保育園で一生懸命に書いた絵67点が掲示されている=写真。
昭和保育園では、年長児が保育園で亀の「りぼんちゃん」を飼っていて、当番さんが毎日世話をしている。卒園の時には、4歳児に亀の世話の引継ぎ式を行っている。今回は、その大好きなりぼんちゃんをモデルに1人1人が丁寧に描き上げている。また、名張保育園は青い葉っぱを、名張西保育園は黄色い花を、モチーフに園児が豊かな感性で描き、心癒される作品となっている。会期は6月30日まで。午前9時から午後5時までで最終日は午前中。月曜日は休館。入場無料。問い合わせは、電話0595-62-7760まで。

■まちの図書館にいらっしゃい!
「陽だまり文庫」代表・上山ひとみさん
子どもがのびのび育つ地域づくりを目指して、町の小さな図書館を開いている人がいる。伊賀市桐ヶ丘に住む「陽だまり文庫」代表の上山ひとみさん(64)である。
30人ほどが会員となりサポートしている。30年あまり前、子ども劇場に参加したのをきっかけに子どもの事を考えたり話し合ったりする場所の必要性を感じた。知人の紹介物件や古民家を改修した場所などを借りたが、維持費等大変厳しい状況であった。そんな時ご主人の「やるなら目立つ所、誰でもが入って来やすい所でないとだめ」とアドバイスをもらい、現在の場所に来て2年。青山小学校から少しあがった道路沿い、大久プラザ1階。確かにここならよく目立つ。「でもあまりPRをしてないので、桐ヶ丘の人でも知らないのでは」と上山さんはいう。店内に入ると上山さんの笑顔が目に飛び込んでくる。図書館のあの堅苦しい雰囲気とは少し違う。正面に飛沫感染防止のビニールをセットした喫茶コーナー。両側壁面の書棚には上山さんが今まで購入した本や会員からいただいた本など約3千冊。(倉庫にはまだまだあるらしい。)その上には会員が描いた絵画。店内にいる数人がコーヒーを飲みながら本を読んだり話をしたりしている。時々笑い声も聞かれる。
近年、活字離れが話題になることが多い子どもたちに、読書の楽しみを知ってほしいと、青山小学校や同学童保育で読み聞かせのボランティアを続けている上山さんであるが、コロナ禍のため、残念ながら最近は子どもが来ることは少ない。
しかし、高齢者を中心に近所の人が集まってくる。店内にいた佐野喜子さん(74)は散歩がてら週に1〜2回は来るという。「ここに来ると心が癒される。好きな本もゆっくり読める」と笑顔で話す。書棚の上の絵画「那智の滝」は、佐野さんの作品である。
その隣には岡森書店の本が置かれ販売もされている。「本屋は待つ商売と言われてきたが、本屋に行けない人も多くなった今、待っていてはだめ。会員が購入希望の本を上山さんに言い、その連絡を受けてわれわれ本屋がここに持ってきて、読者の手に届ける。伊賀市ではここだけ。地域の方に大変喜んでいただいている。今は月に1、2回の訪問だが、今後はもっと増やしていきたい」とは岡森書店白鳳店店長岡森史枝さんの弁。
「コロナが終息したら、子どもや母親にも来てほしい。本を読んだり、子育ての話をしたり。もちろん高齢者の方の憩いの場でもあり続けたい。いつまで続けられるかわからないが、これからも多くの人に助けてもらいながら、できるだけ長く続けていきたい」と上山さんの夢は膨らむ。 個人会員年会費は2000円、家族会員年会費は3000円で店内の本は読み放題、借りることもできる。飲み物も会員割引がある。


「園児が描いた絵」展


陽だまり文庫店内の様子。約3千冊の書籍と喫茶コーナーもある