■■ 3月4日(土)伊賀版■■

 
■21作家で三重二紀春季研究会展
県内の洋画家で組織する二紀会三重支部の三重二紀春季研究会展が21日から26日まで名張市瀬古口のギャラリー空で催された=写真上。
秋の本展とは別に実験的な作品も披露できる自由な発表の場として開催され、21回目を迎えた。これまでは津市や松阪市で開かれていたが、ほかの地域でも開催してゆくことになり、今年は伊賀地域で催された。
会員21人が24点を出展。8号から30号まで、実力派作家がそれぞれのモチーフを独自の手法で表現した力作が並び、入場者はじっくり足を止めて鑑賞。四日市市などから足を運んだファンもあった。
伊賀地域の出展者は次のみなさん。 乾京子、上村信恵、上田慎二、上田保隆、新谷宏明、杉本禮子、竹田道子、玉置和雄、冨嶋多恵子、冨田儀孝、房州紀子、山本博一

■三銀ふるさと文化賞の「伊賀百筆」地域おこし活動を特集し26号発行
地域雑誌「伊賀百筆」(伊賀百筆編集委員会発行)の第26号が発行された。巻頭で同委員会が平成27年度の「三銀ふるさと三重文化賞」を受賞したことが報告され、特集では伊賀市内の旧町村地区で進められている地域おこし活動六件を紹介。俳句、短歌、詩、創作などの文芸作品や、芭蕉、横光利一、忍術といった伊賀ならではのテーマを追った評論、随筆も多彩に掲載し、同市の水源問題をめぐる緊急提言も収められている。
「三銀ふるさと三重文化賞」は、三銀ふるさと文化財団(理事長= 岩間弘第三銀行頭取)が県内で地域文化活動に貢献した個人と団体の顕彰を目的に制定。平成元年から毎年、授賞している。27年度の選考結果は28年2月16日に発表され、3月26日、松阪市民文化会館で表彰式が催された。
伊賀百筆編集委員会は団体の部の文学部門(小説・評論)で受賞。「伊賀百筆」がオピニオン文芸誌として20年あまり、伊賀地域の作家や画家、文化人らに発表の場を提供し、地域文化の発展に大きく貢献してきた功績が認められた。
同誌は平成7年、旧上野市内の企業が文化・芸術活動を支援するメセナ事業として創刊したが、7年後の第10号を最後に支援が打ち切られた。編集兼発行人の北出楯夫さんは第26号に寄せた「『伊賀百筆』が『三銀ふるさと三重文化賞』を受賞」で当時を振り返り、「廃刊の危機を乗り越えられたのは、自ら同人費としていささかの負担をしてでも、『自主運営で発行を続けよう』との、仲間たちの力強い声でした」と記している。
第26号はA5判、288ページ、1部1,500円(本体1,389円)。伊賀地域の主要書店で販売している。問い合わせは北出さん(電話0595・21・2145)へ。
第26号の収録作品と執筆者は次のとおり(敬称略)。
「伊賀百筆」が「三銀ふるさと三重文化賞」を受賞=北出楯夫、「伊賀百筆」のこと=藤田明、「伊賀百筆」へ 三つの期待=佐藤修
【特集 我らの郷の地域おこし】宅子顕彰と地域おこし─大日つぁん倶楽部の活動=番條克治、阿波のまちづくり=藤森荘剛、石川仲よし会の活動=松本浩一、藤原千方伝説の伝承とその遺跡から地域の活性化に取り組む活動=中夲美一、風と土の地元学の実践=鎌田陽司、「蜜の木」という物語=岩名泰岳
【俳句】ローマの松=福沢義男、鈎引き=金谷正智誉、花牛蒡=阿山萬年青句会、薔薇の園=榧の実句会、花野=こでまり句会、彼岸花=山麓句会、茶の花=蕉門句会、鳳仙花=蕉門自然句会、流星=図書館金曜句会、桐一葉=名張蕉門句会、鷹渡る=ふるやま句会、十六夜=ほのぼの句会、初絵馬=夕部柿句会、枯れ芭蕉=神戸曙句会、颱風=さわらび句会、神の留守=新居句会、花八手=卯の花句会
【短歌】蒲生城外濠ダム湖と綿引神社=金谷正智誉、青萼の梅=坂本久子、風人短歌会自選十首=風人短歌会
【詩】楼車巡行(平成27年)=谷本州子
俳諧の連歌 歌仙「産土や」の巻=梅田とほる、段駄羅句はいかが=長谷川直哉
【芭蕉の世界】芭蕉翁桃青の撞座─俳文と文台から=宮田治三、芭蕉翁の肖像─枯野をかけ廻る芭蕉=前川友秀、瓢竹庵と二代目瓢竹庵=北出楯夫、『芭蕉五庵図録』の米洲と谷本米洲=灰原美智子
【横光利一】中学生・横光利一の創作ノート 森の中の秋の衰微を描く=福田和幸、『雪解』を読んで=冨澤有佐、伊賀の文学風土記? 芭蕉と横光 二人の故郷=福田和幸
くさぐさの言葉16 上から目線=田村敏子、パリの夕暮れ─芸術への恋=福沢義男、「天草丸」で逃げてきたユダヤ人たち=北出明、南極観測隊から有機農業へ=岩野祥子
【忍術】和≠築く忍術─伊賀をホームに忍者小説を書く=多田容子、「萬川集海」は「ばんせん─」か「まんせん─」か=北出楯夫
【創作】風が止む時─続・ふたたびの朝=中村ちづ子、深川の雨=高沢英子 【緊急提言】伊賀各地の水源を守ろう=鎌田陽司

■国立西洋美術館長コルビュジエ語る
伊賀市と市教育委員会は11日、上野丸之内のハイトピア伊賀五階の多目的大研修室で、国立西洋美術館の館長で美術史家の馬渕明子さんによる講演会を催す。同美術館は昨年、世界文化遺産に登録された日本で唯一のル・コルビュジエ作品として知られる。
午後3時10分から文化財審議会委員の滝井利彰さんがミニレクチャー「庁舎の文化的価値について」を行い、3時40分から馬渕さんが「ル・コルビュジエと日本近代建築の価値について」と題して基調講演。ル・コルビュジエの弟子だった坂倉準三が設計した伊賀市役所をはじめ、彼の影響を受けた昭和から現在までの近代建築の価値について語る。4時40分まで。 参加無料。問い合わせは市財務部管財課(電話0595・22・9610)へ。

■奨学金給付希望者 前田教育会が募集
伊賀市大谷の前田教育会は地域社会の次代を担う人材を育成することを目的に、平成29年度の奨学金給付希望者を募集している。
対象は、学校教育法による大学、高等専門学校、専門学校に在学する学生で、健康、学術優秀、品行方正であり、三重県民(本人、父母またはこれに準ずる人の住所が三重県内にある人)、三重県内の高等学校等を平成29年3月に卒業する人。
採用予定人員は一人。給付額年間24万円。給付型奨学金のため返済の必要はない。申請は4月20日まで受け付けている。
問い合わせは同会(電話0595・24・5511、月曜休館)へ。
少年時代を伊賀で過ごした作家、横光利一の人と文学をしのぶ第19回「『雪解』のつどい」が18日、伊賀市下柘植のふるさと会館いが小ホールで催される。
岩佐絹枝さんのフルート演奏と田村敏子さんの朗読で横光の随筆「琵琶湖」を鑑賞。つづいて滋賀大学特任准教授の黒田大河さんが「横光利一と幻影の〈ふるさと〉」と題して講演し、そのあと前田明伸さんと番條克治さんのトークがある。
会場には絵手紙グループ「いろは」制作のイメージ絵巻「柘植の友人が語る横光利一」が展示される。 午後1時から受付を行い、1時30分から4時まで。資料代300円が必要。


大平和正展 11日から19日まで名張市新田、堤側庵ギャラリー(電話0595・65・3002)で。大平さんは武蔵野美術大学卒業後、石、金属などによる彫刻を制作。昭和49年から伊賀に住み、平成13年には自然の中にたたずむ彫刻を歩いて体感してもらおうと「伊賀・入道谷」に半年のあいだ作品を設置した「風還元/屋外プロジェクト」を発表。27年には「巨大な土の球体Φ4・1m」プロジェクトの作品を完成させ、新潟の「越後・妻有アートトリエンナーレ」を皮切りに各地を移動して設置、反響を呼んでいる。同ギャラリーでは3回目の個展となり、「風還元Z(段地形)」をコンセプトに展示するという。午前11時から午後6時まで。11、12、18、19日は作家在廊。
第12回初瀬街道まつり 5日午前10時から午後3時まで伊賀市阿保の初瀬街道阿保宿周辺(青山支所周辺)で。初瀬街道散策ウォーク、駕籠かき体験、参宮講看板展(県指定有形民俗文化財)、旧旅籠暖簾の展示、獅子舞(街道練り歩き)、和太鼓演奏、吹奏楽演奏、餅まき、屋台飲食販売、幼稚園児の踊りなどをくりひろげる。会場周辺は歩行者天国となる。問い合わせは実行委員会(阿保地区市民センター内、電話0595・52・2000)、青山支所振興課(電話0595・52・1112)へ