■■ 9月2日(土)■■

 
■10月の名張祭りで担ぎ手を募集
名張の秋をにぎやかに彩る「名張秋祭り」は10月28、29両日に催される。350年以上つづく伝統の祭礼だが、行事を支える地域の人口が減ったため、巡行するみこしと太鼓台の担ぎ手を募集している。
日程は、28日が宵宮行事。午後8時、新町のお旅所に松明行列が集合し、同8時30分に平尾の宇流冨志禰神社へ向けて出発。29日は協賛集結行事。イオン名張店前で午後1時から獅子舞、同1時30分からみこし、だんしり、太鼓台、子供みこし、七福神などが巡行する。
みこし・太鼓の担ぎ手は29日午前8時から午後3時30分まで巡行に携わる。 希望者は所定の申し込み書に必要事項を記入し、ファクス、電子メール、郵送などで事務局(やなせ宿、〒518–0727 名張市新町136、ファクス0595・62・7761、電子メールinfo@yanase-syuku.com)に提出する。締切は10月2日。

■「地域共生社会の実現に向けて」
きょう名張市防災センターで厚生労働事務次官が基調講演事務次官、知事、市長が鼎談
「地域共生社会の実現に向けて」をテーマにした講演会と鼎談の催しが9月2日、名張市鴻之台1番町の市防災センター2階研修室で催される。
講演会では厚生労働事務次官の蒲原基道さんが「地域共生社会の実現をめざして」と題して話し、鼎談は蒲原さんと鈴木英敬知事、亀井利克市長がそれぞれの立場で、年齢や障がいの有無などにかかわらず、すべての人が自分らしく役割を担いながら社会参加できる「地域共生社会」の実現に向けて、「我が事・丸ごと」の試みなどについて語り合う。 午後1時30分から受付を行い、2時から4時まで。参加無料。定員は先着200人。問い合わせは医療福祉総務室(電話0595・63・7579)へ。


●第34回YMクラブ絵画展 9月7日から10日まで名張市元町、リバーナホールで。午前10時(初日は正午)から午後5時(最終日は4時)まで。

 ■■ 9月2日(土)伊賀版■■

 
■伊賀郷土史研究会の軌跡・北出楯夫事務局長が講演
伊賀市上野図書館(上野丸之内)で7月16日、「伊賀郷土史研究会の軌跡」と題した講演会が催され、同会の北出楯夫事務局長が活動を振り返った=写真。要旨は次のとおり。(この記事は七月から八月にかけて伊和新聞に三回にわたって連載した講演録のダイジェストです)
伝統を引き継ぐ
明治43年に伊賀史談会が組織された。史談会の実績のひとつに文化財調査がある。伊賀乱のあともなお残されていた文化財を史談会の会員が調査した結果、伊賀でたくさんの国宝が指定された。 伊賀史談会の活動は昭和23年、伊賀郷土史研究会に引き継がれた。戦後の日本で、歴史を見直す動きが一番早く始まったのは伊賀だった。石母田正さんが伊賀の黒田庄を研究した『中世的世界の形成』という書物を出し、歴史の見方を大きくくつがえした。
そうした機運のなかで、伊賀史談会を新しい組織として発足させる動きが出てきた。発起人の代表は村治円次郎さんだったが、村治さんは若い世代が中心になるべきだと考えていた。そこで沖森直三郎先生、久保文武先生ら7人の世話人が表に立って活動した。
7人のなかで沖森先生が会の中心になっていった。沖森先生は平成2年に九十何歳で亡くなるまで会長として組織を牽引された。
伊賀郷土史研究会の例会は毎月第3土曜日だった。会員が自分の調べてきたことを発表した。外部から講師を招き、中央公民館で一般向けの公開講座をやったこともある。見学会や地域踏査にも足を運んだ。
私は高校時代、赤門(崇広堂)にあった図書館で山本茂貴さんにいろんなことを教わっていた。あるとき、山の神信仰で1月7日に行われる鈎(かぎ)引き行事を調査し、ガリ版刷りで資料をつくった。それを見た山本さんから例会で話す機会を与えてもらったことがきっかけで、高校2年生で郷土史研究会に入った。郷土の歴史を次の世代に引き継いでいくという強い思いを、会員の先生方は皆お持ちだった。
幅広い執筆活動
昭和30年、上野市が文化財専門委員会をつくって委員を任命したが、メンバー全員が郷土史研究会の会員だった。昭和41年に伊賀七か市町村の文化財委員が揃い、伊賀全体の組織ができた。
自治体史の編さん事業にも、郷土史研究会の会員が貢献した。上野市は昭和36年に『上野市史』を刊行したが、執筆者の大半が研究会の会員だった。名張市では、会員の中貞夫さんがまったくの独力で『名張市史』を書いた。そのあと伊賀町、青山町、阿山町、大山田村、島ヶ原村の順に自治体史がまとめられていった。
日刊紙伊賀版の連載企画も担当した。伊賀郷土史研究会のメンバーは、個々の研究はそれぞれテーマが違ったが、新聞社が伊賀の歴史をテーマにした企画を持ち込むと、ひっくるめて引き受けることができた。
昭和48年、上野市で古文献刊行会という組織が設置された。上野の図書館は藤堂藩の記録など立派な資料を所蔵しているが、一般の人が気軽に読むことはできない。そうした古文書を解読し、活字にして広く提供しようというのが古文献刊行会の目的だった。
当時の奥瀬平七郎市長は、観光のドル箱だった忍者屋敷で儲けたお金を古文献刊行会の事業に回すことを考えた。市長が観光協会長も兼ねていたから、それが可能だった。古文書を読む作業は郷土史研究会が担当した。そうした事業ができたのは、伊賀郷土史研究会という受け皿があったからだ。
平成4年、久保先生監修の『図説伊賀の歴史』が郷土出版社から出た。郷土出版社は全国展開していた長野県の会社で、これがきっかけになって伊賀で相次いでビジュアル図書を発行していった。
平成7年の総会で、『図説伊賀の歴史』をたくさんの人に買ってもらったが、アフターケアができていないという意見が出たため、執筆会員が講師を担当する「やさしい伊賀の歴史講座」を催した。それが11月の講座で終了したのを最後に、研究会は休眠状態に入ってしまった。
多忙で活動できない会員があるとしても、残った会員で動かなければならないのではないか。このまま放っておくと、伊賀郷土史研究会はおそらく自然消滅してしまう。
それでは先人たちが支えてくれた伝統を汚すことになる。明治43年から活動してきた伊賀史談会とその伝統を受け継いだ伊賀郷土史研究会は、伊賀にとって大事な組織だった。 忍者ばかりの伊賀郷土史であってはならないと思うから、きょうはこんな話をあえてした。忍者研究は三重大学にお願いし、残余の部分はわれわれ地元の者がもう少し頑張らなければならないと思っている。

■旧崇広堂でクラシック演奏会
伊賀市文化都市協会は10月8日と9日、上野丸之内の史跡旧崇広堂講堂で2日連続のクラシックコンサートを催す。7日から9日まで同会場など市内7か所で開かれる「灯りと華のプロムナード」にあわせた「華灯りアフタヌーンコンサート@史跡旧崇広堂」の企画。チケットの発売を開始した。
8日は「弦楽〜新日本フィルメンバーが送るプレミアムなひととき〜」。新日本フィルハーモニー交響楽団のメンバーによる弦楽四重奏がバッハ「主よ人の望みの喜びよ」、「モーツァルト「ディベルティメント」「春」、ハイドン「皇帝」を演奏する。午後3時30分開演。定員百20人。入場料1,000円。
9日は「悲愴〜高田泰治が紡ぐ、ベートーヴェンの求めた音の姿〜」。高田泰治さんがモダンピアノ以前のフォルテピアノでベートーヴェンの「悲愴」を披露。初演当時の響きをよみがえらせる。午後3時30分開演。定員120人。入場料500円。
2日連続セット券は1,200円。チケット販売所は史跡旧崇広堂、伊賀市文化会館、青山ホール、ふるさと会館いが、あやま文化センター。 問い合わせは同協会(電話0595・22・0511)へ。

■歴史的建築物で灯りといけばな
「灯りと華のプロムナード」は、7日から9日までの午前9時から午後9時まで。伊賀を代表する歴史的建築物を会場に、灯りといけばなの作品を展示する。 会場は、史跡旧崇広堂、旧小田小学校本館、栄楽館、入交家住宅、赤井家住宅、沖森邸、蓑虫庵。午後五時以降は入場が無料になる。

■堤側庵で長岡國人さんの版画展
兵庫県朝来市を拠点に国際的に活動する版画家、長岡國人さんの個展が8日から13日まで名張市新田、堤側庵ギャラリーで催される。
長岡さんは1940年、長野県生まれ。多摩美術大学デザイン科を卒業し、66年に西ベルリンに移住。ベルリン国立アカデミーのグラフィックデザイン専攻で学び、同大学を卒業。銅版画を手がけ、世界の国際版画ビエンナーレで受賞を重ねた。71年から2015年まてドイツを中心にヨーロッパ、アメリカ、日本などで約140回の個展を開催。国際グループ展にも数多く参加した。
87年には銅版画に終止符を打ち、紙をつかった造形に着手。紙による立体作品を制作し、展示空間と作品を一体のものとして観客に提示するインスタレーションをヨーロッパと日本で行った。91年から2011年まで京都精華大学芸術学部教授を務め、12年、朝来市に版画工房「WERK–STATT(ヴェルク・シュタット)N組」を設立、仲間とともに制作活動をつづけている。
同ギャラリーでは3回目の個展。「脱皮によって美しい姿に生まれ変わる蝶や蝉のように、環境破壊が進んだ大地も脱皮して美しくよみがえってほしい」との願いがこめられた「石の脱皮」シリーズを中心に、和紙、墨、柿渋、弁柄など日本古来の素材やタバと呼ばれるアフリカの布を用いた作品などを展示。 午前11時から午後6時(最終日は4時)まで。8、9、10、13日は作家在廊。問い合わせは同ギャラリー(電話0595・65・3002)へ。


●河川レンジャー 木津川上流河川事務所は地域住民に川への興味や関心を深めてもらうため、木津川上流域で活動する「河川レンジャー」を募集している。応募資格は木津川上流域で活動できる18歳以上の人。数人を募集。活動は川に関わる内容で、水防・防災学習、野鳥観察会、歴史・郷土・文化学習など。期間は来年4月1日から1年間。応募は同事務所ホームページから応募書をダウンロードし、必要事項を記入して同レンジャー事務局(事務担当=近畿建設協会)へ郵送またはファクス。締切は9月29日。問い合わせは同事務所管理課(電話0595・63・1611)へ。
●柘植歴史民俗資料館企画展 10月15日まで同館1階展示室で。「蕉風俳諧理念を確立した紀行文『おくのほそ道』より切り絵で発句解説二十八作品展」と題して、芭蕉と曽良が「おくのほそ道」で詠んだ句から二十八句を選び、切り絵教室が制作した原画を解説付きで展示。午前9時から午後4時30分まで。月曜休館。問い合わせは同館(電話0595・45・1900)へ。