■■ 6月30日(土) ■■

 
■三重県総合博物館・おもちゃ大好き企画展
三重県総合博物館(MieMu=みえむ)は7月7日から第20回企画展「おもちゃ大好き!〜郷土玩具(がんぐ)とおもちゃの歴史〜」を開催する。日本玩具博物館の日本屈指の玩具コレクションを中心に、明治・大正・昭和時代のおもちゃや、伊勢地域をはじめとした各地の郷土玩具が大集合する。期間中、記念講演会や体験イベントのほか、タイアップイベントとして「ミエトイ・キャラバンin MieMu」もあり、木製の遊具での遊びや木工教室は楽しい思い出の1ページになること請け合い。9月2日まで。
津市一身田の会場では昭和30年代から現在まで、日常生活の中で子どもがおもちゃで遊んでいる様子や、江戸時代以前のおもちゃ、美しい色づかいや愛くるしい形をした職人の技術が光る郷土玩具まで、楽しい展示品が目白押し。 問い合わせは三重県総合博物館 電話059(228)2283まで。開催時間は午前9時から午後5時(土、日祝は午後7時)まで。休館日は7月9、17、23、30日と8月6、13、20、27日。観覧料は一般900円、学生540円

■南山城村文化会館「青い鳥」上映会
南山城村文化会館は8月18日、同館やまなみホールで、やまなみキネマ「青い鳥」上映会を催す。午前10時と午後2時の2回開演。
ベストセラー作家、重松清の連作短篇集「青鳥」の作品を映画化したヒューマンドラマ。ハンディキャップを持ちながら生徒たちと真摯(しんし)に立ち向かう教師に阿部寛が熱演する。
一般(前売り)800円、当日は1000円。高校生以下500円、南山城村が主催する。 問い合わせは京都府相楽郡南山城村大字北大河原、南山城村文化会館やまなみホール。電話0743(93)0560まで。

■いが再発見-30
「へえ〜 そうなんだ。伊賀は素晴らしい」と好評を博している「いが再発見」。これまで慢性甲状腺炎を世界に広めた「橋本病」や大歌人に賛美された才女・白秋の妻、「大河ドラマに高虎を」と奮闘する伊賀文化産業協会専務理事の福田和幸さんらを紹介している。今週は斎王大来皇女と夏見廃寺の謎を紹介したい。
斎王大来皇女と夏見廃寺の謎
7世紀の飛鳥時代、天智天皇の死後に起きた「壬申の乱」(672年)で勝利、権力を握った天武天皇の娘で、伊勢神宮に仕える斎宮となった大来皇女(おおくのひめみこ=661〜702)が建てたことが確実な名張市にある国史跡「夏見廃寺跡」(元昌福寺)が最近、全国的に知られるようになり、訪れる観光客が増えてきた。大来皇女は実弟で、皇位継承に関わる謀反の罪で刑死した大津皇子(おおつのみこ)を詠(よ)んだ万葉集の歌が有名だ。同皇女は、実在が明らかな最初の斎王であり、それを証明する木簡(木に文字を書いたもの)が現在、奈良・明日香村にある「万葉文化館」で展示されている。(7月11日まで)。
展示館
名張市役所から南へ、国道165線を越えた夏見中央公園にある「夏見廃寺展示館」を訪ねた。入り口正面に、発掘されたお寺の模型(レプリカ)を展示。中央に金堂。向かって右に三重塔、左に講堂がある。館員の竹内英雄さん(65)によると、戦前、夏見周辺で粘土板に仏像をかたどって焼いた?仏(せんぶつ)の破片が数多く発見され、1937年(昭12)に寺跡を確認。戦後2度の発掘調査で、500を超えるせん仏や瓦が出土した。その中に694年にあたる年号を記したせん仏から、夏見廃寺の創建時が分かったという。
平安時代の1015年(長和4)に書かれた醍醐寺本「薬師寺縁起」が展示してある。その中に「大来皇女、最初斎宮なり。神亀2(725年)をもって浄御原天皇(天武天皇)のおんために昌福寺を建立したまう。夏身と字す。もと伊賀国名張郡にあり」と書かれている。この昌福寺が夏見廃寺にあたる、というのだ。
大来皇女は702年に41歳で亡くなっているから、昌福寺の創建とは23年の誤差がある。それについて竹内さんは、年号に整合性がないことを認めながら、名張の地が、亡くなった父・天武にとって「壬申の乱」の際、出陣、凱旋した思い出の地であり、冥福を祈るにふさわしい場所であること、皇女にとっても斎宮として往来した地であり、さらには非業の死を遂げた弟・大津皇子を追善する意味もあったのでは、と説明した。この地は渡来系の豪族、夏見氏が支配する地域でもあった、というのだ。
史跡公園
竹内さんに遺跡を案内してもらう。男山の南斜面にあり、現在は史跡公園として整備されている。「ここが金堂跡、あそこが三重塔」と説明しながら、「実はここからの眺めがいちばん」というところに連れて行かれる。なるほど斜面から寺跡全体が見渡せる。……
続きは6月2日号の伊和新聞に掲載しています。 ※ご購読は名張市上八町1482 伊和新聞社 電話63局2355まで。定価月650円(郵送地区別途)、一部170円。

 

 ■■ 6月23日(土) ■■

 
■引き継がれる伝説と伝統行事に参加
忍者の発祥の地で平安時代の貴族・藤原千方(ちかた)の伝説が残る伊賀市高尾で5月20日、千方ウォークと餅(もち)まきが催された。新緑かおるあおの里山には約80人が参加、心地よい汗を流した。紙芝居などもあり、千方にまつわる武勇伝≠肌で感じた。高尾住民自治協議会がつくる千方伝承会が主催した。
藤原千方ゆかりの史跡を巡る千方古道ウォークは今回で11回目を迎えた。健康促進と餅まきを兼ねたコースは、千方軍が朝廷と対立して立てこもったといわれる千方窟までの1.4キロ、約40分の道のり。
午前10時のスタートを前に、高尾地区市民センターで森脇久満会長(高尾、69)が「険しい道ですが、健康な体を保つため、気をつけてウォーキングを楽しんで下さい」とあいさつ。目標の千方窟(ちかたくつ)は将兵らが団結し戦ったことから絆(きずな)が深まり、縁むすびの霊力もあるパワースポットとも知られることから、出発前には「縁結びの札」を購入する参加者も。
千方伝説について初代会長の中夲(なかもと)美一さんは「高尾は知られざるパワースポットです。千方は村を荒し回っていた化けネコを退治し、千方に付き従っていた四つの鬼は、忍者の開祖といわれている」と説明し「帰って来た後で、わかりやすく紙芝居に仕上げていますので、見て下さい」と話した。
竹やぶなどに囲まれ舗装された急勾配の山道を歩く。15分後には小石や枯れ葉のけもの道に。今年から同地区のデイサポートセンター岳の里に勤務した初参加という2人の60代女性(桐が丘、佐那具)は、杖を手にしながらも「緑の風景の中、歴史を学び、上司関係なく絆が深まった。私たちの施設はアットホームなので、このすばらしい体験を伝えたい」と感想を述べた。
千方窟はうっそうとした森の中にたたずんでいた。柱状節理の岩が屏風(びょうぶ)のように並び、まるで自然の要塞。「赤目四十八滝の布引滝の柱状節理と同じ室生火山帯に位置し、冷えて固まったものだ」という解説があった。全員で記念撮影後、名張市滝之原の赤岩尾神社に通じるといわれる風穴などを通りセンターに戻った。
紙芝居の上演。わかりやすく千方伝説の説明を受けた後、千方に仕えた4人の鬼にたたえた、よもぎ、白米、黒米、しょうがの入った4種の餅まき。地元婦人10人が早朝から作った餅の中には、6割以上の確率で硬貨が入っており、地元住民らがこぞって拾い集めていた。
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今週(23日号)の伊和新聞 名張市議会選挙を2か月後に控え、新人、現職などの立候補者の動きを解説。なばり再発見は、真夏の夜空を彩る名張花火大会の裏側を取材。6月定例議会の一般質問も掲載している。