調理場で料理に腕をふるう
料理長の宮原寧さん
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 名張市安部田、阿清水川の清流沿いに建つ三太夫。伊賀肉を主にした炭火焼きの店として知られ、伊賀地域はもちろん奈良や大阪にも根強いファンをもつ。豆腐をつかった新しいメニューが登場したと聞いて、料理長の宮原寧さんを訪ねた。

 ●伊賀肉の老舗
 三太夫のオープンは昭和62年。伊賀肉の老舗として知られる森脇商店(名張市元町、森脇秀彦社長)が、最高の雰囲気で最高の味わいを、と新設した。同商店は昭和2年の創業で、肉の小売りとレストランの両方で長く親しまれている。
 土地選びから念入りに準備を進め、奈良・大和竜口に残っていた百地家の民家を移築。ほかにも附近の民家を移して店舗とし、伊賀忍者・百地三太夫にちなんで三太夫と命名。しかし開業から間もなく百地家の移築分が焼失し、同じものを建て替えて63年に営業を再開した。

 ●手づくりの味
 森脇商店三太夫部の部長として調理場を切り盛りする宮原寧さんは、この道34年のベテラン。関西や九州で板前と
して腕を磨き、火災からの再建に奮闘中の森脇社長に見込まれて三太夫へ。調理師四人を含め約20人のスタッフの先頭に立って、三太夫の味を守りつづけている。
「基本はやはりダシです。かつおや昆布などの素材はとくに吟味し、最高のものを使用しています」といい、「仕入れたものをそのまま出すことはありません。細かいところまで気を配って、食材の最高の味を引き出すよう努めています」と、手がかかっていないように見えるところにも経験から得たノウハウでたっぷり手間をかけ、徹底した手づくりの味を追求している。
三太夫
名張市安部田字阿清水520
電話0595-64-0055
営業:午前11時〜
午後8時30分オーダーストップ
定休:水曜(祭日は営業)
おぼろ豆腐を楽しむ新セットが登場
細かい気配りで最高の味わいを提供

 ●炭火で豆腐づくり
 主力メニューは全11コース。昨年12月に登場して好評なのが椿コースだ。国産の無農薬大豆を使用した、おぼろ豆腐がメイン。豆乳に本にがりを入れ、炭火にかけて自分でおぼろ豆腐をつくる面白さが人気の秘密という。最近の健康志向にもマッチし、2,000円という安さも受けている。
 コースは、おぼろ豆腐に前菜3品、若鶏、厚揚げ、干し魚、田楽、野菜3点、ごはん、汁、果物。若鶏は朴葉(ほおば)味噌で焼く三太夫独自の調理法。ホオの葉は季節に採って塩漬けし、味噌は白味噌の備前味噌と、どれも惜しまず手をかけ


顧客のアイデアも参考に開発したという椿コース
たもの。
「厚揚げも炭火焼きに最適の固さのものを特注しています」と宮原さん。前菜や田楽の味噌、野菜3点、さらにごはんまで、季節の味が楽しめるようさまざまなバリエーションを工夫し、調理人の最高の気配りとして提供している。

 ●多彩なコース
 伊賀肉ならバラ肉の雪コース(4,800円)、ロース肉の月コース(5,800円)、ヒレ肉の花コース(6,800円)、ヒレ肉とアマゴをともに味わうなら柊コース(8,300円)と、多彩なコースから気に入りのものが選べ、緑と清流に囲まれた自然のなかで食材の良さと調理人の腕がたっぷり堪能できる。

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